“どうぶつと楽しい家 DouTano” プロローグ

2006年 休暇を利用してドイツへ渡った。その頃「ペット共生住宅」が流行して対応商品も次々に発売された。
この状況に、漠然と違和感を覚えていた僕に答えをくれたのが「ドイツの犬はなぜ幸せか」(グレーフェ彧子著)だったからだ。

大型犬のブリーダー業を営む家庭へホームステイしながらペットと暮らすドイツ人宅を探訪した。
「犬と子供はドイツ人に育てさせろ」と言うそうであるが、ドイツ人のペットへの対し方には感銘を受けたし、人間と動物が一緒に暮らすために何が必要であるかを再確認できた。 日本には日本特有の対策が必要だという気づきを得た。

一緒に暮らすためには、相手を知ることが大事だ。縄張り意識や狩猟本能など、動物の野性的な習性を理解して対処してあげればペットがストレスを溜めず、結果としていたずらや無駄吠え、爪とぎ等の困りごとが減ることも多い。プランニングと建材や建築工法を工夫する。一方で、ペットと暮らす醍醐味は可愛らしい(美しい)姿を日常的に見ることができる点だ。好きなだけ「見る」ことができる住宅にしたい。例えば「子猫が蝶を追いかける」なんていうのは絵になる愛らしい姿だ。猛禽類であれば猛禽類らしいところ、猫ならば猫らしい仕草こそが楽しめる。水族館や動物園でも、それを楽しむ仕掛けが増えているが、住宅でも出来る。

もちろん僕は住宅が専門なので、日常生活に無理が生じる提案はしない。
あくまでも住宅である前提の上で、一緒に暮らす動物の「らしさ」をより多く引き出してみたい。

僕の愛犬のさくらは、ルーツが狩猟犬なので動くものを目で追うのに長けている。仕留めるまでの忍耐力も圧巻だ。庭でボールを投げて遊んでやるのだが、見つけるまでは絶対に帰ってこない。縁の下まで器用に潜り込んでいつまでも出てこない。さすがに夜は見えないらしく、ボールを見失ってしまうと、必死で探すその真剣な後ろ姿に、つい可愛そうになって懐中電灯を持ち出して一緒に探す羽目になる。
僕はさくらが年老いたときに安全にも遊べるように、遊び用の長い廊下のある家にいつか住みたい。もちろんボール探しゲームの仕掛け付だ。

※庭に飛来する野鳥を観察する家も提案したいので、あえてペットではなく「どうぶつ」としました。

どうぶつと楽しい家 主宰

建築家大塚 慎也

住宅専門の建築家として年間20棟前後の新築やリノベーションの設計に携わる。流行だけで設計される「ペット共生住宅」に疑問を抱き、ペット先進国ドイツにて本来の共生について学ぶ。帰国後、獣医師・トレーナー連携しどうぶつと楽しい家を立ち上げる。

>>「どうぶつと楽しい家DoTano」について

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